アスベストというと思わず人工的に合成されたものを連想しがちですが、実際は天然の繊維状鉱物で石綿(いしわた)と呼ばれています。天然の鉱物ですから産出国があり、主要国として中国・インド・ロシアなどがあげられます。アスベストの特性として熱や摩擦に強く、丈夫で長持ちするという点がメリットです。このメリットを活かしたかたちで、従来は耐火・防音・断熱などを目的として建材利用がされてきました。

価格が安いという点も建材として見逃せない部分です。しかし皮肉なことに、アスベストの繊維は非常に微細で飛散したものを吸い込むと肺がんなどの病気を引き起こすことが知られてきました。そのため1975年に特定化学物質等障害予防規則が改正されるとともに、続く平成18年には労働安全衛生法が改正・施行され石綿及び石綿を0.1%以上含む全てのものについて製造・使用等が禁止されました。現在では全面的に使用禁止となっていますが、建築物に使用されているかどうかを検査することが必須要件です。

検査を行い安全性を確かめないと、その建物の建替え等が許可されません。検査に当たっては専門の業者に依頼することになりますが、彼らは設計図や施工図から必要な情報を抽出することに精通しています。アスベストのもたらす社会的危険性をも十分理解していますから、ニュートラルな立場から、正確な情報を導き出し最善の方策を企画・立案してくれるはずです。発がん性のある危険な物質であるだけに、その取り扱いには十分に注意したいものです。

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